経営者の湯川益義さんに聞きました

祖父のやっていた薬局名から「三栗」をもらいました

その名に恥じない理想の相談薬局を目指しています

――珍しい店名ですね
「三栗」と書いて、「みつくり」と読みます。この名前には面白い由来がありましてね。

 

私も薬学部を目指すまでは知らなかったのですが、実は私の祖父が薬剤師で、昭和の始め頃に和歌山県の御坊市で「三栗薬局」を経営していたそうなんです。

 

和歌山県は、江戸時代の参勤交代で殿様の通り道だったのですが、庄屋をしていた祖父よりももっと前の代の祖先がこの頃に殿様を上手く接待したらしいのです。

 

そのとき、殿様から「葵の紋はやれないが、三つの栗の紋を授けよう」と言われ、ご褒美を授かったという話がありまして、その三つの栗がそのまま家紋となったということです。

 

この「三栗」が、祖父が始めた薬局の名前にも使われたみたいです。

 

現在の薬局の名前はこの由来から頂きました。ただ、僕は本当にこの話を知らなくて、和歌山の薬局がどんな薬局だったのかは知らないのです。

 

今こうして薬局をやっていることは、祖父が導いてくれたのかわかりませんが、不思議な縁を感じますね。

   

――湯川さんのご経歴を教えてください

 

小さい頃は、漫画家志望でしたので薬剤師になることは全く考えていませんでしたが、理系科目は割と得意でした。

 

なので、漫画の道は難しいなぁ~と思い始めた高校生の頃、薬学の道も良いなと思いました。それから薬学部に絞って受験勉強を進めました。

 

無事に薬学部を卒業して、薬剤師免許を取得したのですが、すぐには就職しないで、しばらくブラジルに行っていたんですね。

 

就職する前に一回でも外の世界を見ておこうかな、と思ったのがきっかけで、結局2ヵ月くらいブラジルで遊んでいました。このときの経験も社会に出るうえでは役立ったと思いますよ。

 

ブラジルから帰ってきて、「さてどうしようか」というときに、大学の恩師から紹介されたのが、当時の薬剤師の間では有名だった鈴木輝一先生でした。

 

大田区で鈴木薬局を経営されている先生で、そこに修行に行ったのが薬局の世界に足を踏み入れたきっかけです。

 

 

 

修行時代に薬局の仕事の醍醐味を覚えました

――鈴木薬局で薬局のイロハを教わったわけですね

 

はい。鈴木先生は、当時の蒲田薬剤師会の会長も務めておられ、医薬品販売には大変厳しい目をお持ちでした。

 

当時は、薬剤師国家試験を受験したとき以上に医薬品に関する勉強をしたと思います。

 

夜中2時くらいまで勉強して、次の日早くから売場に立つという日常で、2年半ほどお世話になりましたが、そこで医薬品を安心・安全にお客さまに届けることがいかに大切なのか、学ぶことができました。

 

その後、大田区内にある雑色薬局で14年ほど勤務してから独立しました。鈴木薬局では医薬品販売の基礎を徹底して学ばせてもらい、雑色薬局ではお客様に喜ばれる話し方など接客業としての面白さにも気がつきました。

 

この2つの薬局には、非常に感謝していますよ。

 

――どんな感じの薬局を目指されて独立されたのですか

 
自分の理想は、単に処方せんを受け付けてお薬をお渡しするだけの薬局ではなく、健康に不安がある方ならどなたでも気軽に相談できる薬局です。

 

その理想を果たすために、市販薬や健康食品なども充実した店作りを行っています。

 

薬局の名前も祖父がやっていた「三栗」から頂きまして、親戚関係から「三栗薬局の再興だね」と言われました。

 

その名に恥じないような店作りをしたいと思っています。

 

――実際のお客さんの層はどういう方たちが多いのでしょうか

 

近くに小児科がありますので、お子様連れのお母さんが多いですね。

 

そういう方たちから家族の健康相談を受けたり、口コミで新しい方を紹介されたり、少しずつですが層は広がっています。

 

 

 

お客さまの症状を見て適切なお医者さんを

紹介するように心がけています

――健康相談で気をつけていることは何でしょうか

 

薬局で解決できる症状とそうではない症状の見極めですね。

 

薬局でできることには限界もありますから、そうした方には近隣の適切なお医者さんを紹介するようにしています。

 

例えば同じ内科でも消化器系に強いお医者さんとか、循環器系に強いお医者さんなど専門的な区別を把握した上で紹介しています。

 

近隣のお医者さんには、修行時代から関係を築いてきた方もおりますので、気軽に紹介を受けてくれる先生も多いですね。

 

――相談は先生一人でされるのですか?


基本的には私が相談に乗りますが、パートの薬剤師も1人居りますし、事務の方は市販薬の2類と3類を販売できる登録販売者の資格も取っています。

 

手伝ってくれる家内もこの登録販売者ですし、元々は看護師でもありますので、包帯の正しい巻き方などにも対応できますよ。

 

スタッフ全員が相談できる体制ですので、健康のことで悩みがある方はぜひ足を運んでもらいたいですね。

インタビュー=2010年10月6日